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ノイファイミリーの日常、息子の成長など・・・
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いよいよ「その日」が訪れました。

長い長い1日が、はじまります。


+ + + + + + + + + + + + + + + + + + +


朝モハメドの呻き声でみんなが目を覚ました。
彼は昨日から具合が悪そうにしていたがとうとうここにきて高い熱を出し、
本格的に寝込んでしまった。
メリアンやママがレモンを薄く輪切りにして、彼の額にあてていた。
薬を飲ませようとしても、すぐに戻してしまってぜんぜん効果がない。
私につきあってサハラからシャウエンまで、
一緒に強行スケジュールをこなしてくれたから、とても疲れてしまったのだろう。
ママがバケツとポットに入れた水を持ってきたので、
私はその水で自分の手を濡らし、彼の顔をまんべんなく冷やしてあげた。
みんなが心配そうに彼の周りで様子を窺っていた。
家出中とはいえ、こんなにも家族みんなに愛され、
心配されているモハメドがなんだか少し羨ましく思えた。
しばらくすると彼が眠りについたので、
周りの家族達の日常が何事もなかったかのように始まった。
小学生のハスナとハサニヤは学校へ行き、パパは仕事に出かけた。
メリアンとファティマは各々のホームワークをこなし、
ママとおばあちゃんは時々眠っているモハメドを気遣いながらも、
家事に精をだしていた。

ママがルーフで洗濯を始めた。
メリアンがその前で小さな木の椅子に座って何やら縫い物をしている。
私もメリアンと並んで座りながら彼女達とおしゃべりをした。
メリアンが日本では洗濯をマシンでやるのかと聞くので、私は肯いた。
私はここで初めて洗濯板を使って洗濯をした。
私にとってはそれは初めての体験で、
とても新鮮な目新しいひとつのイベントのようなものだった。
だからある意味で面白く、
また彼女達とのコミュニケーションの手段として良い方法だったのかもしれない。
でもあくまでもそれは日常ではなく、旅先での1つの出来事であり、
日本に帰ればまた機械が洗濯をしてくれる生活が待っていてくれる。
正直に言えばその機械を使って洗濯をして、洗濯物を干してたたんでくれるのは、
私のママなのだ。この年で本当に恥ずかしながら…

だけど彼女達にとって洗濯はかなり大変な労働なのだ。
子供達の数も多いから、次から次へとやってもやっても
洗濯物が毎日容赦なくでてくる。
その家族全員分の洗濯物を全て手でやらなければならない。
裕福な家庭には洗濯機もあるようだが、
まだモロッコの一般家庭に洗濯機はそれほど浸透してはいないらしい。
何故かサテライトTVはわりと普及していて、
そこから世界中の映像が目に入って来るから多分洗濯機の存在自体は知っていても、
経済的にそれを手に入れるまでには至らない。
モロッコの人々にとっては、自動車や洗濯機はまだまだとても高価な品物なのだ。
おばあちゃんやママの世代にとって手で行う洗濯は当たり前であっても、
メリアン達若い女の子達にしてみると、それがとても歯痒い事の様だ。
「私達にお金さえあれば、洗濯物なんて全て機械にやってもらう事ができるのに…」
彼女は溜め息まじりで肩をすくめて私にそう言った。
世界中に情報のみが先走りして、
物質が後手に回ってしまったときの歪みがそこに感じられた。
何時でも何処でも便利な物、新しいものを先に手に入れるのは経済力のある人間で、
そうでない人々の手に行き渡るまでにはとても長い時間がかかる。
昔のように情報も遮断された生活であれば、
その存在自体を知らないから不便な事も当たり前のように受け止めて、
現状に不満を覚える事も少ないだろう。
でも今は、皮肉な事に情報だけはどんな細かい網の目をも潜り抜け、
世界中の人々の目に飛び込んで来る。
特に若者は万国共通でそんな新しい情報には敏感だ。
世の中は目まぐるしい勢いで変化していて、
次々と新しく便利なマシンが造られ、利用され、消耗され、そして捨てられていく。
それらを当然のように手に入れられる環境にいる者もいれば、
目の前に眺めながら、手に入れられない者もいる。
果たしてそうやって消耗型の生活を送る事が良い事なのか、
私はこの旅でもう一度その事について考え直す必要性を感じたりしたが、
逆に彼女達にしてみれば、
便利な機械を手に入れたい、
そうすればもっと自分達の生活も楽になり良くなるはずだと感じるのかもしれない。
何十年か前の日本人達がそうであったように…

メリアンの縫い物が終わり、彼女がハンマムに行く為に石鹸を買いに行ったので、
私は家の中に入り、モハメドの様子を窺った。
彼は相変わらず、ぐっすりと眠っていた。
額に手を当てると、まだとても熱かった。
おばあちゃんがソファに座って私とモハメドの姿を眺めながら、微笑んでいた。
「大丈夫、すぐに元気になるから心配しなさんな。」
おばあちゃんの優しい瞳はそう言っているみたいだった。



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プロフィール
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masu
年齢:
47
性別:
女性
誕生日:
1969/09/27
職業:
一級建築士
趣味:
しばらくおあづけ状態ですが、スケッチブック片手にふらふらする一人旅
自己紹介:
世田谷で、夫婦二人の一級建築士事務所をやっています。新築マンションからデザインリフォーム等をはじめ、様々な用途の建築物の設計に携わっています。基本呑気な夫婦で更新ペースもぬるーく、更新内容も仕事に限らずゆるーく、でもていねいに、綴っています。
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