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ノイファイミリーの日常、息子の成長など・・・
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私が、25の頃から通っているおでん屋さんが、
この夏に店を閉めることになった。
カウンター席だけの、すれ違うのも大変なくらいの本当に小さな店で、
切り盛りしているのは今年78歳になる博美おかあさん。
私にとっては、もう一人の母のような人だ。
長いこと通って来てくれていたお客さんたちもすっかり歳をとり、
一人、また一人と店になかなか顔も出せなくなり。
お母さん自身も体力的にも精神的にもかなりの限界。
いよいよ、
彼女のお店と仕事人生の長い長い歴史に幕を閉じることとなる。
今まで、本当におつかれさまという思いと、
若い頃からあの店で泣いたり笑ったりして色んなことを語らって
人生諸々を紡いで来た場がなくなることへの寂しさと。
いろんな気持ちが交錯する。
何故だか、おでんがおいしい訳でもなんでもないあの店の、
博美ママのファンはとても多彩で、
世界的な芸術家の先生方やら、大きな企業の役員の方々やら、
そうしてこんな夢見る夢子だったあたしみたいな小娘やらが
ごった煮のように小さな店の小さな椅子に小さくなって腰かけながら、
四方山話に花を咲かせて楽しい時間を過ごしたのだった。


あたしが自転車縦断イタリアの旅をやると言えば、
まるで自分たちのできなかったようなスケールの大きい夢をのせて走ってくれ!
と言わんばかりにオジさん達はやいのやいのと盛り上がり。
イタリアから絵はがきが届けば、
「今MASUはどの辺を走っているんだ?
 またあっちのヤツと恋をしたって?
 大丈夫なのか?」
と酒の肴にしつつも心配し。
帰国して一人になって涙にくれてればそこいら中からビールを注いで慰めてくれ、
仕事も充実しはじめて試験も受かってママにもなったと言えば、
自分たちの娘のようにみんなが
ああ、あの破天荒娘がやっとやっとこんなに幸せになってくれてよかったよかったと
喜んでくれた。
そんな店の中で、いつでも変わらずあたたかく見守ってくれていたお母さんが、
すっかりとお店を続けていけるだけの気力も落ちてしまって、
私もいよいよの決断をしなければならないわと、先日涙を浮かべながら話してくれた。


店っていうのは、本当に続けてくれている人の多大な努力と気遣いによって
「営まれること」が続いているわけで。
何事にも言えることだけれども、始めるのは簡単。
何年も何十年も続けて来たってことがどれほどのことか、
自分自身もちっぽけな事務所を経営してきたことがあればこそ、
本当にその大きさたるやすごいことだと思う。
閉めるとなると、
みんな急に思い出したかのようにどどっと顔を見せるようになったりもする。

お客さんはきまぐれ。

勿論当たり前なんだけれど。
でも、それに振り回されることなくお店を守り続けて来たおかあさんと、
お母さんのお店を守りたいと思って通い続けて来たお客さんたち。
そんな様々な人たちによって、
あの場所は、いつも変わらずあそこに在り続けてくれた。
私が、たった一人で踏ん張って踏ん張って、
なんとか自立して生き抜いていこうって思えたのも、
そうして孤独で精神を病むこともなく頑張り抜けたのも、
あの店と、お母さんがいてくれたからだと思う。
東京のど真ん中で、
いつもあたたかい小さな提灯のあかりを灯し続けてくれたお母さんに、
本当に感謝の気持ちでいっぱい。
場所は、とっても大切なものだけれど、
今度はいろんな場所でお母さんとの時間をゆっくりと過ごしたいと思う。
お店はかわってしまっても、博美ママが私のもう一人のママなのは変わらない。

今年は本当に、自分以外のところで様々な転機が訪れる年。
そしてこれまで守ってくれたじぶんの周りの大人たちを、
私が守っていかなくちゃならない歳まわりに、いよいよなってきたのかもしれない。

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プロフィール
HN:
masu
年齢:
54
性別:
女性
誕生日:
1969/09/27
職業:
一級建築士
趣味:
しばらくおあづけ状態ですが、スケッチブック片手にふらふらする一人旅
自己紹介:
世田谷で、夫婦二人の一級建築士事務所をやっています。新築マンションからデザインリフォーム等をはじめ、様々な用途の建築物の設計に携わっています。基本呑気な夫婦で更新ペースもぬるーく、更新内容も仕事に限らずゆるーく、でもていねいに、綴っています。
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