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ノイファイミリーの日常、息子の成長など・・・
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夕方、再びモハメドの家に行った。
みんなで夕食を摂る。
モハメドのおばあちゃんはその昔王宮で食事の支度をしていたという。
今夜は私の為に腕を振るってくれた。
食事ができあがるのを待っている間、双子の小学生ハスナとハサニヤが、
私に覚えたてのフランス語を披露してくれた。
サーラは私の膝の上がよっぽど気に入ったらしく、他の人が抱っこしようとすると、
泣きべそをかいて離れない。
食事の用意ができると私の膝の上から降ろされて、
モハメドの傍にちょこんと座った。
小さな子供でも、きちんと席について食事をとるのが、モロッコでの作法だそうだ。

今夜の夕食はタジン。
ママやメリアンがパンをちぎってタジンのスープをつけ、
私の口に運んで食べさせてくれる。
次から次へとわんこ蕎麦のように口に運ばれて目がまわりそうになった。
モロッコのもてなしは、手厚い。
夕べのアリのタジンも美味しかったけど、
モハメドの家のハリラやタジンもとーっても美味しかった。
モロッコに来る前は、
食べ物が合わなくてお腹をこわして痩せて帰ると思っていたが、
どうもそううまくはいかないらしい。

食事が済むと、食べ散らかったテーブルの上をきれいにふいて、
テーブルも片付ける。
床に落ちたパン屑も、
柄のついていないデッキブラシみたいなものできれいに掃きとられる。
家具はみんな可動式。
使う時に使う場所に運び、使わない時は片付けられる。
ぱっぱっと部屋のしつらえはかわる。でもとっても合理的。
余計なものを置かず、こまめに片付ける。
その後は家族で団欒。
みんなでソファやベットの上で毛布にくるまって、暖をとりながら団をとる。
家族の写真を見せてもらったり、テレビをみたり、
その横では兄弟喧嘩が始まったりと、それはそれは賑やかだ。

私が水差しに入っていた水を少し飲むとモハメドが
「これはミネラルウォーターじゃないから君は飲まないほうがいい」と言った。
モハメドとアリと3人でホテルの側に水を買いに行くことにした。
ここだけの話だが、モハメドは家族には煙草を吸う事を秘密にしているので、
口実を作って外に一服しに行きたかったのだ。
荷物もホテルの部屋に置きっぱなしだったのでついでに取りに行くことにした。

水を買い、置いてあった荷物を取り、モハメドの家に運ぼうとしていると、
何やら太った男がホテルの出入口で私に何か言ったらしい。
その言葉を聞いたモハメドが急に怒りだして、
私と荷物をアリに預けて先に行けと合図した。
アリに送られモハメドの家でメリアン達と話をしていると、
彼がものすごい剣幕で怒りながら手に怪我をして帰ってきた。
そして着替えて再び飛び出して行った。
警察官のモハメドのお父さんもただ事ではないと察して後を追いかけて行った。
私が何事かと外に出て行こうとすると、
メリアンが大丈夫だからと家の中にいるように言った。
私は何が何だかわからないまま、メリアン達とモハメドの帰りを待った。

10時近くになってやっとモハメドが帰ってきた。
バスが出るからと、急いで荷物をまとめ家を出る。
ママやメリアン達にサハラから戻ったらよろしくと挨拶もそこそこに、
雨の中バスターミナルまで走った。
民営バスターミナルはブージュールド門からすぐのところにあるが、
夜は真っ暗でえらいコワい。
多分こんなところに私は1人でのこのこやって来て、
バスに乗り込む勇気はなかっただろう。
周りの人間が全てうさんくさく、恐ろしく見えた。
アリがバス停で私達を待っていた。
よく見ると、アリも顔に怪我をしている。
2人に理由を聞くと、さっきのホテルにいた太った男が、
どうも私に対して汚い言葉を吐いたらしい。
それを聞いたモハメドがとっても怒って喧嘩になったそうだ。
モハメドは身体がそんなに大きくないので、
兄貴分のアリも加勢して憎き宿敵をノックアウトしたらしい。
私が怯えた顔をしていると、
2人は「大丈夫だ。心配するな」と言って私をなだめた。
「もしも、誰かが私に対して汚い言葉を吐いたとしても、
私は彼等が何を言っているのかわからない。だから腹もたたない。
お願いだから、私のために喧嘩なんかしないで!!」
「君がたとえ意味がわからなくて、気がつかなくても、
僕らは君の事を本当の妹のように思っている。
だから僕らは君が侮辱される事は許せないし、そんな時は僕らは迷わず闘うんだ!
そんな風に思ってくれる2人に、私は本当に心から感謝した。
言葉では言い表せない程感動した。
「I have two Supermens!!」
「モハメドはスーパーマン、僕はバットマン。
MASUが呼んだらスーパーマンもバットマンもすぐにとんでくるよ!」
アリはそう言っておどけて見せた。
“Keep your SMILE!”君の笑顔は僕らを幸せにするんだ。 
私の笑顔がそんなに価値あるものなのか自分じゃよくわからないけど、
彼等に今、私が与えられる物は本当に笑顔だけなので、
笑って行ってきますを言う事にした。

いよいよバスに乗り込む。
安い方のバスなので、エコノミーの飛行機なんて目じゃない程狭い。
私とモハメドが席に着くと、
アリが「水はいる?」「何か食べる?」とあれこれ世話をやいてくれた。
ボトルの水を買ってきてもらって、リュックに詰め込む。
アリとはしばしのお別れ。
「MASU. 何かあったら、砂漠でアリに電話をくれ!
アリバットマンが飛んでくるからね!!」
握手とキスでいってきます。
アリは「君らが旅に出ている間寂しいよ!」と別れを惜しんでいた。



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プロフィール
HN:
masu
年齢:
54
性別:
女性
誕生日:
1969/09/27
職業:
一級建築士
趣味:
しばらくおあづけ状態ですが、スケッチブック片手にふらふらする一人旅
自己紹介:
世田谷で、夫婦二人の一級建築士事務所をやっています。新築マンションからデザインリフォーム等をはじめ、様々な用途の建築物の設計に携わっています。基本呑気な夫婦で更新ペースもぬるーく、更新内容も仕事に限らずゆるーく、でもていねいに、綴っています。
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