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ノイファイミリーの日常、息子の成長など・・・
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とりあえず、
成田〜パリ、パリ〜カサブランカへのフライトを終えたあたりから。
**************************************

14:10 カサブランカから、最後のフライトでFezに向かう。
今度はほんとに飛べんのかなぁ?!って思っちゃうような小っちゃいプロペラ機。
さすがに3度の乗り継ぎはタフな私も疲れが出てきて、
“早くどっかの宿で寝たいよー”と気が萎えてきた。

隣の席の青年と少し話をした。
彼はFezの新市街にある旅行会社に勤めているそうだ。
仕事でカサブランカに行った帰りだと言っていた。
「君は今夜泊まるホテルを決めているの?」
「いいえ。何も決めずに来たから。これから探すつもりです。」
「それなら、僕が知っているホテルを紹介してあげるよ。
そのホテルは新市街の僕が勤めてるオフィスのすぐ側にあるんだ。
部屋もきれいだし、それ程高くないし、お薦めだよ」

どうしたものかと思っていた。
モロッコで初の、親切そうでフレンドリーな人との出会いだった。
だけど彼が紹介してくれるホテルの料金は私の予算よりかなりオーバーしていた。
それに本当に彼を信用していいものやら判断しかねていた。
私が半信半疑でどうしようかなぁーと思っている間に、
飛行機はFez空港に到着してしまった。
飛行機を降りて、荷物を待っている間も彼はずっと私の側にいた。
いろんな人が彼と挨拶を交わしていた。
「ここには僕の友達がたくさんいるんだ」
彼はそう言っていた。
もしかしたら、本当に親切で私にホテルを紹介してくれると
言ってくれているのかもしれない。
少しずつ私の気持ちは動いていた。
それでも、空港からFezの街まで彼の車で乗せていってくれると言われた時、
やっぱり“うーむ 困った…”と二の足を踏んでいた。

丁度その時、タクシーの運転手が客引きにやって来た。
青年がこの女性は僕の友達だから、僕がFezの市街まで乗せて行くのだと掛合っても
運転手の方は全く耳をかさず。
私に向かって「君は本当に彼と知り合いなのか?だから彼の車に乗るのか?」
としつこく聞いてきた。
本当は飛行機の中で知り合っただけだと分かると、
「じゃあ乗りなさい」と強引にタクシーに荷物もろとも詰め込まれ、
結局Fezの市街まで120DHで運ばれる事になってしまった。

私は少しほっとしたような、親切そうだった青年に申し訳ないような
複雑な気持ちで車に乗っていた。
タクシーの運転手は道々、運転しながら私を歓迎し、私が1人でこの国を旅しようとしている事に驚き、この国での注意事項を列挙し、それでも僕みたいな親切な奴もいるのさと母国と己のフォローを怠らず、私を安心させようと日本人の友達のアドレスや写真をみせ、わずかな時間を120%は優に超えるくらい有効に使ってくれた。
それから私がガイドブックを見て選んだホテルについて、
「そのホテルはメディナの中にあって、君の様な1人旅の女の子には危ないから」
と注意を促し、私のホテルの予算と希望を聞き、部屋探しを手伝ってくれた。
新市街に入る頃、
「明日は僕の友達のオフィシャルガイドに君を案内する様頼んであげよう」
と運転手に云われた。
“ああ、これがガイドブックに書いてあった、モロッコ人のガイド攻撃かぁ。”
そう思っているうちに何ともタイミングよく、
そのオフィシャルガイドの友人に街の中で偶然?出会った。
運転手は私に
「彼が丁度今話していた友達のオフィシャルガイドだよ。」
とその友人を紹介してくれた。
ガイドの名前はラムラニさん。
ちょっと太っちょの、それでもとってもやさしそうな顔をしたおじさんだった。
私に信用させようと、オフィシャルガイドの写真入証明書を見せ、
公認の1日のガイド料の値段表を見せてくれた。

モロッコに入った途端、私の1人旅には桃太郎のサルやキジのように、
次々と道連れができてしまった。
別に大したきび団子を持っているわけでもない私にも、人並みに人が集まってくる。
果たしてこの先どうなるのやら… 
 
モロッコ人がとてもフレンドリーな国民だということは、
本で読んで知っていたつもりだった。
でも、今まで気の向くまま、思いのままの旅をモットーにしてきた私が、
今回はどうも最初から勝手が違って戸惑ってしまった。
私の意志とは別の、見えない力が私を次から次へとベルトコンベアーの上に乗せ、
ポイントポイントへと運んでいってしまうような気がした。

私はとっても疲れていた。
仕事に追われっぱなしで、そのまま休む間もなく飛行機に乗り、
乗り継ぎに乗り継ぎを重ねてこんな遠くまでやって来た。
ここ1ヶ月ろくに眠ってもいない。
だからとにかく、一刻も早く、今は休みたかった。
この人達が本当にいい人なのか、そうでないのか、
判断し見極める元気も私には残っていなかった。
でもそう悪い人達には見えなかったので、とりあえず今日の私のねぐらを探してもらい、60DHでシャワー付のボロ宿に決め、ラムラニさんには明日の朝10時にホテルまで迎えに来てもらって、メディナを案内してもらう約束をして、早々に今夜のねぐら… 手足を伸ばして眠れるうすら冷たいダブルベットになだれ込んだ。



どのくらい眠ったのだろう。
時計を見ると夜中の1時を回ったところだった。
シャワーを浴びたかったので、服を脱ぎ、錆付いた蛇口をひねった。
ホテルの人の話だと、ここはホットシャワーになっているとのことだった。
ただし、時間が決まっていてその間だけしか温かいお湯はでないといわれていた。
ただ、私は肝心な時間を聞き取ることができなかった。
疲れていて、何度も聞き返すことも面倒くさく思えて、
まあいいやとやり過ごしてしまった。
どうも今はその時間外らしい。
待てども待てどもシャワーからは温かいお湯は出てこなかった。
仕方なく、殆ど水に近いぬるま湯で髪を洗った。
モロッコはもっと気候も暖かいと思っていたが、
さすがに真冬の今はぬるま湯を浴びても平気な程暖かくはなかった。
全て私の勉強不足がいけなかったのだが、
それでもなんとなくブルーな気分に陥ってしまった。
なんでまた、こんな国にたった1人で来てしまったのだろう。
これからあと2週間も、一体どうすればいいんだろう…???

震えながら身体を拭き、着替えて再びベットの冷たい毛布に潜り込んだ。
シャワーで余計に身体が冷えてしまったので、
着て来たコートとストールも毛布の上に重ね、
旅行鞄に納まるくらいに小さく身体を丸めて、また私は眠りについた。




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masu
年齢:
54
性別:
女性
誕生日:
1969/09/27
職業:
一級建築士
趣味:
しばらくおあづけ状態ですが、スケッチブック片手にふらふらする一人旅
自己紹介:
世田谷で、夫婦二人の一級建築士事務所をやっています。新築マンションからデザインリフォーム等をはじめ、様々な用途の建築物の設計に携わっています。基本呑気な夫婦で更新ペースもぬるーく、更新内容も仕事に限らずゆるーく、でもていねいに、綴っています。
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