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ノイファイミリーの日常、息子の成長など・・・
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前回までのお話で、いろいろな夢と現実との狭間で葛藤があり、

がっつりと削る部分と、

どうしてもゆずれない部分とを振り分けていったことをお伝えしました。

■■■

今日はそこで生き残ってきた、どうしても使いたかったものたちを、

ご紹介していこうと思います。



今回のデザインテーマは、「融合」。

ワタシが過去に旅をして歩き回って見てきた様々な国の、

そして生まれ育ってきた日本の、

なんか好きだなぁ。なんか惹かれるなぁ。

と感じる要素をちりばめつつも、

全体的にはしっくりとまとまっている空間づくりを目指しました。

前にもどこかでお話したかもしれませんが、

ワタシはこってこての「○○スタイル」とか、「××的」とか、

そういうひとっくくりにできちゃうものには、

あんまり魅力を感じないのです。

イタリアンモダンとか、北欧スタイルとか、和風空間とか、

時代でくくるとするならば、60年代風とか70年代風とか。

同じカテゴライズの中でアイテムを探してコーディネートすれば、

誰だってそれなりに上手いことまとめることができちゃいます。

そうではなくて。もっともっとリラックスして。

なんとなく自分たち好きなもの「だけ」を集めていったら、

それぞれはバラバラに見えても、どこかしっくりなじんでしまった。

そんな風に、今回の家もつくっていけたらいいなぁと思いました。



まず一つ目は、今回のデザインの要とも言うべき建具です。



以前も「建具のお話」■■■でご紹介しましたとおり、

今回の家では絶対にこれをやりたいと思っていました。

お陰で普通のリフォームの見積から比べると、

相当全体的なコストに対しての建具工事費が嵩みましたが、

これは仕上がりを見て感動で鳥肌が立つくらい。

本当に実現させてよかったアイテムでした。

建具をきっちり造ると、それだけで空間のグレード感が、

ぐぐぐっとあがります。

とかく床材や壁材ばかりに気がいきがちですが、

この効果はそれをしのぐくらいにワタシは感じます。

一口に制作建具といっても、

建具本体・建具枠・塗装費・金物代 などなど、

全て併せると非常にコストもあがってしまうのですが、

いい職人さんに造ってもらった建具は、高級家具を置くよりも、

ずっと存在感があって、しみじみ味わい深いものがあります。

  

また、今回は建具の枠も少し太めにつくってもらいました。

日本では通常建具枠の見付け幅は25mm。

欧米の高い天井広い空間では、40~60mmくらいの枠が多いですが、

天井高さに限りのある日本ではこんな風に薄い建具枠が普通です。

そこをあと10mm幅広に!

すると、木目が浮き上がっているのがきちんと分かるくらいの幅になり、

圧迫感を押さえつつも、随分立派なものに見えてきます。

たかが10mm、されど10mm。

あなどれないコダワリでした。




次にこだわっていたのが色の壁です。

我が家のテーマカラーである黄緑を、絶対に使いたいと思っていました。



この通り。

明るくてパンチが効いたペンキ塗りの壁。

キッチンに立って料理するのが楽しくなるような色の壁です。



そしてそのキッチン脇のタイル。



ここはぐっとシックな深い深いボルドー。

色相で言えば黄緑の壁と補色に近く、

彩度でも対比が強いので、

コントラストが聞いてすごくモダンな感じになりました。

でもそれだけではありません。

コンロ脇のスペースなので、ここは油などのとびはねが一番多い所。

でもこれだけ深い色のタイルだと、

幸いなことにその汚れが全く目立ちません。

デザイン的な要素だけでなく、

掃除嫌いな主婦のワタシにとっても、これはいい選択となりました。



そして最後に、リビングの1面の壁に施した、

ガラスモザイクタイルです。



一つ一つが手作り風のラフな感じで、目地もがたがたになってます。

でも、それがまたなんとも言えずにいい感じです。

目地が曲がってる!とか、まっすぐじゃない!とか、

そういうことが気になる方々には向かないと思いますが、

ワタシはこういうラフな感じがダイスキなので、

仕上がりをとっても楽しみにしていました。

輸入物で在庫がなかったので、船便で届くまで数ヶ月待ち。

ここだけ後工事というかたちになりましたが、

貼りあがったときはホントにしびれちゃいました。

事前に取り付けてあった飾り棚の色ともびったんこ。

眺めるのが楽しい「壁」になりました。



とまぁ、こんな感じで生き残ってきたアイテムたち。

これら「ワタシのすきなもの」たちが組み合わさって、

我が家独特の雰囲気のある空間へとまとまっていきました。



な~んて。仕上がりを見てる今だからいえますが。

正直かなりそれぞれ個性のあるモノたちの組み合わせなので、

設計者のワタシもちょこっとできあがるまでビクビクしておりました。

勿論、絶対カッコよくなる!と信じていましたが。

工事をしてくれた業者さんたちは、

仕上るまでいつも頭の上に『???』がいっぱい。

仕上ができあがったところを見て、

ようやくみんなで「ほぉおぉう~」ってため息。

「これがやりたかったんだ~。Masuさんは・・・」

と、納得してくれましたとさ。






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夏休みを挟んで、また間が開いてしまいましたが。

アトリエMASUのリフォーム経緯をまたご紹介致します。



前回ご紹介した最終リフォーム案の前には、

実はもっともっと夢膨らんだプランがありました。

家なんて、普通の人ならそうそう何度も買えるものでもないし。

とにかくやってみたいことは全て一度出し切ってみよう!ということで、

色々と盛りだくさんに盛り込んだワケです。

例えばお風呂。

最初の計画案では、こんな感じでした。


(↑画像プレビューでてませんが、クリックしてみてください)

左が夢のバスルーム。右が現実です。

日本では通常マンション等では防水のことを第一に優先して、

ユニットのバスルームを入れることが多いです。

欧米とは違って洗い場で身体を洗う習慣だし、

水はホントに恐ろしいもので、どんなに気を使って施工していても、

ほんのわずかな隙にも侵入していってしまいます。

勿論不可能ではないので、在来工法といって防水工事を十分に行った上で、

自由な形の浴室を造る事はできます。

若しくは一部をユニット化したり、防水パンみたいなものを制作した上に、

好きな仕上げを施したりもできます。

そんなワケでこの時も、在来工法の浴室プランをつくってみました。

仕上げは大理石のモザイクタイル。

浴槽、そして水栓金具や洗面ボウルは、

ちょっと丸みを帯びた柔らかいラインのものを選びました。

一番力を抜いてリラックスする場所だから、

デザイン自体もあまりとんがってないものを使いたいと思ったんですね。

がしかし。

コストは相当にとんがったもんで、

ここは真っ先にへし折られることとなりました。

防水工事を施した上で仕上げをするので、コストが二重・三重に

膨れ上がってしまうんですね。

防水パンみたいなものを制作するとしても、

「制作」となれば工場で型からつくらなくてはならないので、

同じくコストは嵩みます。

ワタシの夢のホテルみたいなバスルームは、一瞬にして消えていったのでした。



そしてフローリング。

最初選んでいたのは幅の広いちょっとラフな感じの輸入物の板材でした。



■■■

ニレの木を使用していて、木目がワイルドに浮き上がっています。

写真で見ただけでもいい感じ。

だけど値段も、かなりいい感じ。

フローリングはほぼ全室に敷かれるものなので、

㎡単価が高ければ当然ながら全体のコストに占める割合が大きくなります。

大きな減額をしなければならない場合、

やっぱり避けては通れない項目になってしまいました。

そんなワケで、ここも泣く泣く削ってコストの安い材を使用することとなりました。



我が家の最初の見積は、

なななんと。

同じ物件がもう一軒買えちゃう?!

ってものに近くなってしまいました。

物件価格の2/3は優に超えていました。

おそらくそれは、例え予算に余裕があっても、

私たちの場合は実行しなかったと思います。

コストバランスを考えると、それはあまり現実的ではないかなと感じたからです。

職業的な見地からと、一消費者からの見方と、

両方を照らし合わせてみてもそう思います。

具体的に言えば、

「都内の利便性のいい土地で、

3000万の中古物件に対して物件価格の1/3である1000万プラスして、

『総額4000万』で自分たちの気に入った間取りと素材だけを使えた家」

って、なんだかすごくお得感もあり、満足度も高い気もしますが。

「都内の利便性のいい土地で、

 3000万の中古物件に対して物件価格の2/3である2000万プラスして、

 『総額5000万』で自分たちの気に入った間取りと素材だけを使えた家」

だったら、なんだか新築買った方が全然いいような気がしちゃうんです。

勿論今と同じ面積はなかなか難しいですが、

最近の新築マンションは外観も色々気を使ってキレイにつくってるし、

設備だって新しいものが入っているし。

あれだけ騒がれた後なので、構造だって中古よりは安心だろうし。

セキュリティに関しても、今はいろいろ工夫がなされています。



そしてまた、お金をかければかけただけ、

当然いいものはできるけれど、

ある程度の予算の枠がある中で、どこまで自分たちの納得のいく、

気に入った空間がつくれるか ってことに、

挑戦してみたいというのもありました。

妥協を妥協と思わせない仕上がりに。

こんなによくなるなら、時間とエネルギーを使っても、

絶対自分たちの好きなものばかりに囲まれた空間の方がいい!

って思える完成品に近づけるように。

あがってきた見積をチェックしながら、

自分たちのライフスタイルをもう一度入念に見直しながら、

一つずつ、「これは絶対ゆずれない」「これは必要ない」

と振り分けていく作業をして、

最終的にこのプランで決定して進むことになりました。


ちょっと間に話が飛びましたが、

既存のプランと写真をご紹介したアトリエMASU。■■■

今日はそこからどんなプランを作成したかを、ご紹介します。



まず、既存のプランはこんなでした。



70㎡に満たない広さでの、3LDK。

典型的な中廊下型のプランです。

で、ワタシが設計したのがこちらです。



え、部屋が一つ減ってリビングダイニングが広くなっただけ?

結構・・・いや、かなり。平凡。

はい。平凡です。

「自分ち」ですから。

いろいろと商売柄実験を試みた我が家ではありますが、

プランに関して言えば、あまり大きな冒険はしていません。

自分たちのライフスタイルを十分把握した上で、

いちばん気持ちよく感じられるプランにはしました。

でもそうすると、とどのつまりは結局、

「いぢくりまわし過ぎないもの」 が、

やっぱり一番落ち着くんだなって思いました。

それよりも、ひとつひとつの素材感や色のバランスに細部まで気を使い、

更にその「『気を使っていること』を訪れた人に感じさせないこと」に、

配慮してプランと材と色の選定をしました。

なんのこっちゃ?って感じですが。

実はこれって、

日本の様々な伝統的なデザインの、基本のような気がします。

デザインだけでなく、おもてなしの心や、文化の根底にあるようなもの。

そんなことも心に留めつつ、設計を進めていきました。



プランが固まると、

展開図やスケッチをおこして、

更に立体的に色や素材の配分を検証します。



このとおり。

今回のテーマカラーはビビッドな黄緑と、深い深いパープル。

色の組み合わせだけを見ると、モダンな感じがしますが、

そこに木の素地の素材感やラフなガラスモザイクタイルなどで、

やわらかさや自然な感じを織り交ぜて、緩和させています。

最近のマンションのモデルルームなんかを見ても、

実は全然色使いがつまんないんですね。

木材なら明るいメープル・ダークなヴェンゲやウォールナット。

時々赤みのチェリー。 みたいな。

もしくはどこみても白・白・白とか。

ちょっと格好つけて、アルミ素材とガラスとか。

みんなに買ってもらうものだから、万人受けするものが選ばれるのは、

仕方のないことととは思いますが。

家ってもっともっと、色使い・素材使い、楽しんでいいと思います。

勿論、何でも使えばいいってもんじゃないですが。

時々、どうしちゃったの?ってのもありますが。

品よく程よくさりげなく、そして時に大胆に。

そんな色使いを、実現できたらなぁと思って、検討を重ねました。



そうしてできたプランを、業者に見積もってもらいます。

そしてここから、

大きく大きく膨らんだ夢の風船に、

ぷすり~、ぷすり~ と針をさされ、

しゅぅうぅう~!

と萎ませていく作業に入っていくのデス。

さて、しばらく間が開きましたが、

アトリエMASUをサンプルとして、

中古マンションの購入からリフォームして生活するまでを、

少しずつご紹介していきたいと思います。



前述しましたとおり、■■■

実際に物件を見に行く前に、

既にリフォーム案の図面を描いてしまっていたワタクシですが。

そこまでやるのもこんな図面を見た上でのことでした。



ご覧の通り、物件は東南向きの角部屋住戸。

西側の壁にも、開口部が各室についています。

そして地図で見ると、丁度この西側の窓の先に公園がありまして、

この窓から公園の緑を眺められるというロケーションでした。

また、昔ながらのベーシックな間取りでしたが、

内部の壁は全て撤去が可能な間仕切り壁。

柱と梁のラーメン構造という構造でコンクリートの躯体をもたせているので、

内部は自由に動かすことができます。

そんなワケで、「こりゃいいかも・・・!」と期待に胸を膨らませつつ、

現地を見に行ったのでした。



既存の現場は下記の通り、写真を撮って残してあります。





①玄関入って廊下~リビング~バルコニー方向をみるとこんな感じ。



長い廊下に沿って、細切れの部屋が続いています。



②LDK側から見返すとこんな感じ。



左側の個室たちが妙に圧迫感があります。



③LDからバルコニーを見ると。



真ん中に妊婦姿のワタクシが・・・(なつかしぃいっ!)

家具を置いたらあっというまにキツキツの空間になってしまいそうな

ゆとりのない間取りです。



④キッチン



以前住んでいた方が年輩の方で、古いながらもとてもキレイにお使いでした。

引越しにあたっては丁寧に掃除もしていってくださったのですが、

これも全て新しく交換です。



⑤リビングに隣接した和室



西日が差し込むので障子が入っていました。

でも、せっかくの眺望を活かせないのでこの障子も撤去して、

型ガラスをクリアガラスに交換して、

積極的に外部の景色を部屋内に取り込む予定です。



⑥プラントボックスもついたバルコニー



比較的奥行きもあります。

現在のマンションに比べたら、奥行きは狭いかもしれませんが、

それでも椅子の一つや二つ置いて植栽もおけるくらいのスペースです。

日本では洗濯物を干すスペースとしても活用せざるを得ないバルコニー。

できる限り広さがあるのは理想です。



⑦洗面台



水周りはかなり無駄なスペース活用になっていて、

広さの割りにはごちゃごちゃして使い勝手がよくありませんでした。

ここら辺も整理して、機能性もアップしていきます。



⑧トイレ

 

狭くて窮屈なトイレ。

お客様が来た時に、軽いお化粧直しもできるくらいのスペースに、

生まれ変わらせます。



⑨お風呂



小さなサイズのユニットバスを無理クリ押し込めていました。

サイズアップして、ゆとりのバスタイムを過ごせるように変えていきます。



とまぁ、こんな感じの既存の姿でした。

一般の方々ですと、ここから一体どんなスペースに生まれ変っていくのか。

その想像が付かない為に、既にリフォームをされたものを見て購入されるのが、

日本の今の主な現状です。

でも、それで業者にリフォームされて、しょぼい既製品を入れられて、

あっという間に不動産価格が数百万も上乗せされて販売されている物件を、

ワタシもいくつも見てきました。

その度に、予算に合わなくなった物件をしぶしぶ諦めることも多々ありました。

買うときの見た目は悪いですが、余計な手を加えられていない分だけ、

少しでも不動産価格自体を押えられれば、

その分自分たちの好きなようにリフォームする予算に回すことが出来ます。

不動産価格の100万と、リフォームの100万は、大きさが違います。

リフォームで100万予算が膨らめば、

その分すごく色んな可能性が広がっていきます。



今回の我が家の購入からリフォーム工事の経緯をご紹介しながら、

ポイントを押えて吟味した物件を買えば、そこから先はアイディア次第で、

こんなにも古いマンションの一室が変貌を遂げられる・・・ということを、

少しずつご紹介していけたらと思います。




現在のアトリエ兼自宅であるこの住戸。

見つけたのが昨年(2006年)の5月半ば頃でした。

それより1年以上も前から物件探しはしていたのですが、

先に契約されてしまったり、ローンがうまくいかなかったりで、

なかなか実現には至りませんでした。



私たちはこの世田谷三軒茶屋~駒沢界隈限定で、

中古のマンションを約3000万円前後で購入の上、

約1000万円程度の総リフォームをして暮らすということで、

ずっと物件を探し続けていました。

物件探しの条件としては、

■ 駅からは絶対徒歩10分以内。

  事務所としての機能を果たす以上は、

  アクセスの良さも重要ポイントです。

■ 広さは3人家族設定で55㎡以上。60㎡台が理想。

■ 最高でも5階建てくらいまでの小規模~中規模マンション。
 
  世田谷区という場所柄、あまり高層マンションはありませんが、

  地面から遠いと、なんだか生きた心地がしないのです。

■ いっても築30年。

■ プラン変更しやすいラーメン構造。角部屋住戸。

■  閉鎖的な立地でないこと。(窓の前がすぐ壁!とかでないこと)

とまぁ、こんな感じで絞りこんで探していました。



目ぼしい物件をネットや不動産やさんからのFAXで見つけては、

まずgoogle mapの航空写真で立地を確認。

図面上の方位と階数から視界が抜けそうか否か、

緑が見えそうな敷地かなどなど、

地図と航空写真で推測できる限りのことを推測して、

これは買いか、そうでないかを判断します。

そしてよさそうな立地条件だった場合は、

即座に広告の間取り図と面積を照らし合わせて

経験値からおおよその寸法を推測しながら既存図を作成。

その上にリフォーム案をつくります。

ここに辿り着くまでに、先日過去のデータを調べてみたら、

ざっとではありますが7件分のリフォーム案をつくっていました。ワタクシ。

夫に言わせると、

「なんか会話もなく黙々とコソコソ作業をしているな~と思ったら、

 やっぱりまた我が家のリフォーム案をつくってた・・・」

とまぁ、そんなことが幾度となく繰り返されていたそうです。

別に、二人(当時はまだあれんたん出産前)で暮らす家なので、

コソコソする必要もないのですが。

何分「紺屋の白袴」とはよく言ったもんで、

我々の職業、自分ちなんかに散々時間かけて設計してたら、

その分ぜんぜん儲かんないワケです。

だけどお客さんの言い分なんて聞かなくていい我が家の設計。

自分の好きなものをお金が許す限り好きなだけ盛り込めるとくりゃ、

めっちゃくちゃ楽しいワケです。

やらなきゃいけない仕事もそっちのけ・・・

とはいきませんが、気持ち的にはそっちのけ・・・にしたいっ!くらい。



そんなわけで、今の物件が見つかった時も、

予定日(2006年5月28日)が間近に迫っているにも関わらず、

わずか3日間でプランは完成。

(その集中力を仕事で使ってくれ・・・と夫は思っているはず・・・)

しかも、現場を不動産やさんと実際見にいく前にです。

現地に行く際には既に出来上がったプランの図面を持参して、

その日のうちに購入決定!

産休のない自営業。

こうなったら、

産前産後の90日間支給される土健保の出産一時金で食いつないで、

その間に全て片付けちまおうっ!

そして9月からは新居・新事務所で、仕事も復活だ~!!

とまぁ、あれんたん誕生をまたいで、

我が家の購入・設計・現場管理・竣工・

そしてお引越・・・へと、アトリエMASUは突っ走ることとなったのでした。




先日、出産前に基本設計をお手伝いさせてもらった小規模マンションが

ようやく竣工したので見てきました。

この物件、総合設計担当がワタクシの夫。

そこから外注事務所として依頼を受けて、

基本設計に携わりました。

本当なら、その後の実施設計まではお手伝いの予定でいたのですが、

お施主さんのローンの都合などでスケジュールがずれこんで、

みるみる間にワタシの腹もぼっこり膨らみ、

とうとう臨月に入ってしまったので、

その後は夫とインフィル設計担当のスタッフ達皆でまとめあげて、

いよいよ竣工を迎えることとなりました。



オーナーさんは年輩のご両親と40代の息子さん。

建物構成としては、色々と思考錯誤の上、

ご両親のお家が1フロア。

息子さんのお家が1フロア。

賃貸部分が2フロア(各フロア2室ずつ)となりました。



最初に役所調査や現場調査をした時の写真がこちら。



かなり年季の入った建物でした。

玄関も勝手口も、通りに面していて、

表にでたらすぐに「こんにちは!」って感じです。

最近のマンションでは、プライバシー重視とか、防犯重視とかで、

こういったアクセスの仕方は殆どしなくなっていましたが、

この既存の状況を見て、基本的なイメージとして、

「京都の町屋」みたいなエッセンスを盛り込みたい!

というアイディアがすぐにかたまりました。

ワタシは縁の下でもりもりプランを描いたり立面を描いたりしてたので、

直接お施主さんと打合せする機会がなかったのですが、

お施主さん達自身も玄関でたらすぐ道路・・・

というシチュエーションにはすっかり慣れていたので、

全く違和感も感じられずに受け入れられたそうです。

もう一つ、ワタシがお施主さんを想像しながらプランを考える時に、

心に留めていた写真がこちら。



決して今風のセンスではないですが、

丹精込めて、いろんな植木を手入れして育ててました。

そばで見ると、毎日のように手入れをされているのがよくわかりました。



寄せ植えされたりして、緑もあおあおしています。

きっとオーナーのお父さんお母さんは、すごく愛情込めてこの植木たちを、

育てているんだろうなってことが伝わってきました。

そこから、建物周囲にこんな風に植木が置けたり、

道行く近所の人となんとなくつながりが感じられたりするような、

古き良き時代の日本の街角に馴染むようなプランにできたらいいなぁと思いつつ、

図面を描いていました。



ワタシ自身が直接受けるお仕事とは違って、

間に色んな人たちを介したこういった下請けのお仕事の仕方でも、

その先にいるお客様に対する想像力を働かせて設計を進めていくことは、

大切なことでもあり、何より楽しいことです。



たのしく、はたらく。

これ、アトリエMASUの基本デス。



さて、そんな裏方のぶつぶつのつぶやきも汲み取ってくれたのか、

出来上がった建物は、こんな風に仕上りました。



基本設計の後、本当に実際に建物を建てるために、

図面の縮尺を更にフォーカスして、

細かい部分を実施設計で詰めていき、

更に現場で実物と格闘しながらいろんなことを検討していきます。

実際建築はそこが大変な部分なので、

今回ワタシはほんとにさわりの部分だけお手伝いしただけなのですが、

出来上がりはやっぱり、ウレシイもんです。

エントランス周りや町屋風の格子も、キレイに仕上っていました。



窓の格子の下周辺は、砂利敷きになっています。

鉢植えになってしまいますが、ここのスペースを活用して、

また父さん・お母さんたちが

様々な植木を育てていってくれたらいいなと思います。



オーナーさん住戸の内部は、

別のプランナーさんが入ってまとめてくれていましたが、

通りに面した格子と繊細なデザインの内部の障子が織り交ざって、

見事な陰影をかもし出していました。



2,3階部分の賃貸部分は、全て天然素材を使用しています。

漆喰の壁。無垢のフローリングや建具。などなど。





最初にオーナー住戸を見た後に、この部屋に入りましたが、

感じる空気感が全然違いました。

予算の関係上、オーナー宅も当初は珪藻土などを使用する予定でしたが、

実際は珪藻土クロスや普通のビニルクロスを使用していました。

そうすると、どうしても竣工直後なのでまだ接着剤等の臭いが抜けきれておらず、

長い時間滞在してると少しクラクラしてきます。

でもこの賃貸部分は全て天然素材なので、

(というか、今回それを『ウリ』にした賃貸物件をつくったので)

本当に呼吸が楽で、気分がすごくいいです。

空気の味が違うってことを、肌で感じられます。

プラン自体はシンプルなものですが、

素材の違いの大きさを、実感できる物件になりました。



あれんたん出産直前まで、モリモリわしわし仕事をして、

その後もそのまま突っ走ってるワタクシですが、

こうやって一つ一つカタチになって出来上がってきたものを見ると、

ブランクをあけずに仕事してきて、

しんどいけど、

なんかよかったな と、思いました。



オットも頑張った!(何しろ実践部隊だし)

インフィル設計担当の皆様も、おつかれさまでした!

さて、前回お伝えした我がマンションの共用部。

エントランス・エレベーターホールの改修工事も、

無事完了いたしました。

このところ東京は天気が梅雨曇。

なので暗くて写真もいまひとつなのですが、

ご紹介させていただきます。



まずはエレベーターホール入口から。



メールコーナーからオートロックの自動ドアをまたいで、

エレベーター前面までタイルのパターンを敷きこみました。

ここは主にマンション住人の方々専用入口。

自宅に戻ってくる人たちを迎え入れる動線を、

タイルのパターンで誘導しています。



次にメインエントランス入口。



昼間は管理人さんが常駐しておられるので、

来客の方々は通りに面したこちらのエントランスを利用します。

管理人室の前のカウンターまで、

訪れた人を誘導するパターンタイルが貼られました。

そしてその横にはエントランスラウンジ。



ここで、ちょっとしたお客様の応対や、

事務所をやっている私どもなんかは、軽い打合せができるようになってます。

既存のこの家具は、そのまま使用する予定でしたので、

この古っちぃ家具が浮きすぎないようなタイルを選びました。



だからといって、せっかく改修工事をするので、

少しこれまでよりは明るく。



そして外部から来る人たちの汚れも目立たず。

あたたかく迎え入れてくれるようなテイストのものを選んでいます。

1枚ずつのタイルの色サンプルを見たときは、

結構濃い色で、暗く感じるかと思ったのですが、

貼ってみると広さがあるので、

想像以上に以前より明るく感じられるようになりました。

サンプルと仕上がり後のギャップは、経験値で埋めていく以外にないのですが、

今のところどの物件も、いい方に転んでいってくれているのでよかったです。

それにしても、小さな色見本から出来上がりを想像して指示を出すのは、

やっぱり何度やっても出来上がりを見るまで緊張します。



さてさて、タイルのパターンはこんな感じ。



同じ種類のものを2色使いにして。

更に150□・300□・450□。

そしてH60mmのボーダータイルを組み合わせ、

絨毯の柄のようにパターンをつくって埋めこみました。



このH60mmのボーダータイルは、小さなタイルが5枚セットになっており、

真ん中の1枚に柄が掘り込まれています。

これがかわいくて選んだのですが、

このサイズがかなり曲者で、タイル貼り職人さんをかなり悩ませておりました。

ワタシも自分で図面かいて割付してて悩んだんですけどね。

どうにも上手く割り切れない。

なので、大きい300□のタイルを目立たないように位置を選んでカットして、

一番端の目地が揃うように調整してあります。

職人さんたち。

またまたご苦労様でした。



こんな感じで、

我が家の住戸内のみならず、共用部まで、

Atelier MASU スタイルのマンションにしちゃいました。

古~いマンションですが、

なんだか感じよくなって、気分がいいです。
安暖亭がひと段落のatelier MASU.

楽しかった余韻に浸る間もなく、

ビシバシお仕事しておりました。

そんな合間をぬって、

ちょっと楽しいデザインのお手伝い。

いくつかやっちょりました。



一番身近なところで。

我がマンション共用エントランスの改修工事。

床タイルを貼りかえるので、そのタイルの選択と、

パターン貼りのデザインを考えました。

現在、着々と工事中デス。



実はこちらのマンション。

築30年越えの、超オンボロ・・・ぢゃなくて、古~いマンションです。

既存のエレベーターホールはこんな感じ。



キライじゃないんですけどね。

こういうレトロ感。

結構シブかったです。

そしてメインエントランスも。



工事前に写真撮りゃよかったんですが・・・

何しろ合間を縫ってのお手伝いなもんで。

かなり濃いめの古いタイルが貼られていて、

ちょっと暗い感じではありました。

ようやくタイルも貼り終えて、

明日、目地詰めして完了デス。

果たして、どんな風に変ったでしょうか・・・



というワケで、

完成写真をお楽しみに・・・
さて、しばらく間があきましたが、

先週末に無事、安暖亭も引渡しが終わりました。

既にお引越もされて、

新しいお家でのお施主さん達の生活は始まっています。

引越しの荷物搬入前に完成写真を撮りましたので、

改めてご紹介。

以前紹介したものと同じようなものも多いですが・・・



まずは外観から。



緑豊かな敷地なので、アースカラーの外観が溶け込みます。

そしてサンルーム。



既製品の中でも、今回は天井部分が角型のタイプを選びました。



格子戸の色も大分落ち着いて馴染んできていました。



扉を入ってすぐのところに電話台兼収納。



反対側の下足入扉。1枚は鏡貼りになっています。



この鏡を貼った扉とそれ以外の扉の面が揃ってるところも、

建具やさんが気を使ってつくってくれた部分です。


玄関方向をリビングから見返すとこんな感じです。



そして吹き抜けからリビングを見下ろすと、



以前使っていたエクステンションテーブルも、

他の家具類と同じ色で塗装しなおしてもらいました。

薄型テレビもテレビ台の上に丁度納まっています。

ベンチ下の収納部分はこんな風に。



できるだけ露出のコードがごちゃごちゃしないように

内部に配線も仕込んであります。



キッチンはシンプルに。



対面式でリビングや庭の緑を眺めながらの調理ができる配置です。



奥の書斎コーナーから玄関やリビングを見ます。



この写真たちが、一番この部屋のあったかい風合いを現してるかもしれません。



さて、これまでこの安暖亭、洗面所や浴室のご紹介をしてませんでした。

1階のトイレと洗面・脱衣室は一つのスペースにまとめて、

できるだけゆったりと空間を使えるように配慮しました。



そしてお父さんがこだわったお風呂。



ユニットバスではありますが、ヒノキの香りが漂う、

木製のお風呂になりました。

写真を撮った時にはまだ仕上ってませんでしたが、

この窓の外に竹垣を回して、玉砂利を敷きこみ、

お風呂から眺められる坪庭が出来上がっています。

このユニットバス。

メーカーさんの話によりますと、見積は何度も出しているそうですが、

実際施工されるのは年間10軒あるかなしかだそうです。

通常のユニットバスに比べると値段も張るので、

金額を見てやっぱり・・・となる方々も多いそう。

今回はお父さんがお風呂がダイスキな方だったので、

迷わず決定されていました。

ユニットバスといえども侮れない見事なヒノキの香り。

普段は温泉の元などを入れて入浴されていたそうですが、

お湯をはると自然にヒノキの芳香がお風呂中に広がるので、

そのままで温泉気分を味わえるそうです。



さて、階段を登りつつ吹き抜けの壁を眺めると。



スポットライトで珪藻土の壁が照らし出されています。

その向こうに周るシンプルなシーリングファンが見えます。

階段も手摺も、その他の家具や内装材と同じ色に塗装してあります。





二階の部屋は、既存の床や柱を残しつつ、

違和感のないまとまりを出しました。



障子を開けると吹き抜け越しに下の階の気配が伝わってきます。



今の季節は風の抜けもよく、気持ちいい空気がまわっています。

造り付けにしたワークカウンターも使い易くなっています。



結構な天板の大きさがあるので、

色んなものを広げて作業するのにも便利です。



と、こんな感じで無事に完成いたしました。

先日引渡しの日に直会(なおらい)していただきましたが、

お父さんがオープンキッチンで、自作の野菜を振舞ってくださったり、

お孫さんがあちこち探検していたり、

大きなテーブルを囲んでみんなで団欒したり、

そのうちに皆お酒が回って、ベンチから気持ちのいい床に座ってくつろいだり。

面積としては小さなお家でしたが、

とっても楽しい時間を過ごせる空間になっていました。

うれしいな。

また、こんなお家を、

頑張ってつくっていきたいと思います。


これまで内装工事のお話を中心に載せていた安暖亭ですが。

外装もほぼ全面的に手を加えて、お色直しをしておりました。

サッシなども新しく交換して、

外壁の色や仕上げ、更には屋根も葺き替えて、

これまでの印象とはがらりと変わった外観になりました。


北側の外観の変化はこんな感じ。



お父さんが屋根材の深いグリーンを選ばれたので、

それにあわせてアースカラー系でまとめてみました。

壁の下の方はざっくりとした風合いのボーダータイル。

上部は吹きつけで仕上げに変化を出しています。



玄関側はといいますと。



玄関扉の手前にサンルームが設置されています。



約4畳もあるこのスペースが、

光を存分に取り込むサンルームでもあり、

この家の入口である玄関でもあります。

ちょっと変則的ですが、

サンルームを入って式台に立ってから、玄関扉をガラガラガラ・・・と開ける。

そんなプランになっています。

実はこの式台。

古いこの家の玄関で使っていたものをキレイに洗って塗装して、

再利用しました。

上り框となるこの式台を部屋外に出したお陰で、

玄関扉の内側のスペースが非常に有効に使えるようになりました。

入ってすぐの左手には、階段手摺にもなっている例の下足入。



フラットな扉の一枚が鏡になっていて、

リビングの室内が移りこんでいます。



玄関を見返してみるとこんな感じ。



格子戸から差し込む光と、その向こうに見える庭の緑。

気持ちがいいです。

この扉は、全開できるように鍵の金物も特別なものを見つけてくれたので、

気候がいい時期は開放して、寒い時期には閉めて使用します。



正面キッチンにも窓があるので、南北の風が抜けていきます。



2階のトップライトからも風が通り抜けるので、

しばらくはクーラーも使用する必要がなさそうです。



リビングのベンチに座って正面に見える3枚建具も仕上りました。



奥の間は、当分はお父さんの書斎として使われます。

これから先、もしも2階に上がる生活がいよいよしんどくなったときには、

こちらの壁を少し手前に出して寝室となる予定です。



書斎側から玄関方向を見るとこんな感じです。



ようやく養生がとれて、フローリングの風合いも見えてきました。

今回使用したこのフローリング。すっごくいいです。

幅広の板なので、木目の柄やムラも十分に眺められて、

少しマットな手触りに仕上っているので、触った感じもすごく自然な感じです。

テカテカした光沢もなく、やさしい肌触り。

色もなんともいえない微妙なやわらかさがあって、とっても気に入りました。

リビングのベンチや家具、階段なども同じ色味で統一させて塗装しています。



ツヤもほんの少しにとどめているので、フローリングに近い風合いです。

吹き抜けから見下ろすと、フローリングの板のムラがよくわかります。



このムラも、好き嫌いがあるので相手を選んでオススメしないといけないですが、

今回のお施主さんは、珪藻土と共にとても気に入ってくださいました。



さて、2階に上がってみると。



こちらは既存の床をそのまま使用しているので、

古い部分と新しい部分が浮いてしまわないように、

あまり新しすぎず、でもボロボロな感じもしないような仕上げになる様、

ペンキ屋さんが頑張ってくれました。

実はリフォームの場合、この古い部分と新しい部分の見切り方に、

結構神経を使ったりします。

下手に考えなく計画してしまうと、

妙にそこだけちぐはぐつぎはぎのちんちくりんみたいになってしまうので、

予算との兼ね合いもみながら、うまく既存部分となじむようによく検討します。



以前は唐突に存在していて邪魔だった柱も、



カウンターがついたお陰で違和感なくなり、

障子から差し込むやさしい光で落ち着いた空間になりました。



カウンター側から入口を見返すとこんな感じ。



右側のトップライトの下の床が、今回増設した部分ですが、

殆ど違いがわからなくなっています。

あえてちょっと古めかしいデザインにした入口の扉も、なんとなくなじんでいます。

この外側の階段部分に大きな窓が付いているので、

そこから差し込む光をこの入口のガラス戸から部屋内に更に引き込んでいます。



と、なんとかこの安暖亭も、ほぼ完成に近づきました。

明日にはクリーニングを入れて、きれいに内部を掃除してもらいます。

引渡しも近いので、あともうひとふんばりです。




さて、

安暖亭の現場も、佳境に入ってまいりました。

前回お施主さんの希望で急遽範囲が広がった珪藻土仕上げも、

1階の壁と天井全面に施されました。



そしてキッチンも設置。



キッチンに関しては、お施主さんのお母さんご希望の色の中で、

全体的な部屋のイメージにあうものを選びました。

あまり主張しすぎずに、それでも色味が明るく爽やかなものです。



キッチンの床は淡いオレンジ系のタイル。

拭き掃除のし易い施釉タイル(ツヤのあるもの)で、

目地も油や調味料の汚れ等が目立たないように、

濃い茶系のものを使用しています。

実はワタクシ、自邸のキッチンでは濃い茶系のタイルに、

まっ白い目地を使用いたしました。

デザイン優先でそれに決めてしまったのですが、

やはりキッチンの油などの飛び跳ねはかなりのもので、

結構よごれが目立つんですね。

インスタントコーヒーの粉をこぼした日にゃ、

いっそのこと目地全面に刷り込んでやろうかと思いました。

なので、自邸での実験の失敗(とまではいきませんが、経験)を糧にして、

(何しろカラダ張って学習する建築士ですので。おほほ。)

今回はこういった取り合わせでタイルと目地を選びました。

更に正面奥の壁も他の部分と同じ仕上に見えますが、

実はここだけ珪藻土部分と同系色のビニルクロスです。

上から塗れるペンキや汚れを拭取れるタイルならよいのですが、

珪藻土の場合は汚れが付くとそのまま黒ずんで浸透していってしまうので、

念のため汚れを拭取れるクロスで仕上ました。

珪藻土の黄色っぽい壁と天井がキッチンにまで至ったので、

なんだか少しポップな感じもしつつ、明るく楽しそうなキッチンになりました。




吹き抜け部分も全面的に珪藻土が塗られました。

  

珪藻土のアップを撮ってみたけど、そのテクスチャー、

お分かりいただけるでしょうか。



今回は壁などの垂直面は横引きの仕上げ。

天井などの水平面は、木ゴテ押さえといって、仕上げの感じを変えています。





そしていよいよ  真打登場!

じゃじゃ~ん!!!





玄関格子扉です。



この扉。余計な金物が目立つのがいやだったので、

引き手部分(扉を引くための手が入るところ)まで

掘り込みになっています。

鍵の施錠用の金物だけはどうしても付いてしまいますが、

すごくすっきりと仕上げになりました。



ちゃんと裏表同じように格子がはいっています。

ありがとう~♪ 職人さんっ!

また一つ、名作が出来上がりました。



2階の吹き抜けに面する部分にも障子が入ります。



まだ障子紙を貼っていないので枠のみですが。

季節によって、冬の寒い時期には障子を閉めて、

夏は外してのびやかな空間と風の流れを取り込むなど、

臨機応変な使用ができるようになっています。



さて、仕上げ工事もあと少しとなった安暖亭。

ここに置く家具なども、今お父さんが色々検討中です。

実は先日ご相談を受けました。

新しいテーブルを買おうと思っていたが、他に色々そろえるものもあるし。

以前子供たちが家にいた大家族の頃に使っていたテーブルを、

リニューアルして使用できないだろうか・・・と。

早速業者さんと一緒に敷地内の物置を散策・・・物色?

見せていただいたテーブルは、

カリモクのエクステンションテーブル。

最近はリバイバル品などもシリーズで出てますね。 ■■■

古い痛んだ状態で見ると、んんん?って感じでしたが、

きちんと手入れした後の状態を想像すると、結構いいかも!

あまりピカピカにはせずに、いい感じでリニューアルしてもらうことにして、

脚も座卓の高さにカットすることにしました。




実は物持ちのいいお父さんのお陰で、

こちらには魅力的な古物がたくさんありました。

そして見つけた!



 「臼」



1本の木を刳り貫いてつくった小ぶりの臼です。

横に眠っていたのが、お父さんのお兄さんが作ったという無垢材のベンチ。

これは、使わない手はありません。

早速サンルームに置く家具に使用することにして、

くれぐれも廃棄しないようにとお伝えしておきました。

臼の中にちょっと飾れる炭やコケを入れて、

その上にガラスを置いてテーブルにしちゃいます。

こんな感じで。




サンルームでお茶でも飲みながら庭の緑を眺められる。

ちょっとしたカフェ~な空間を、つくっちゃおうと思います。




しばらく間があいておりましたが、

安暖亭の方は着々と、現場がすすんでいます。

連休中も大工さんが力作の家具を作ってくれて、設置・塗装も入りました。

今回の物件は床面積が大きくないので、限られたスペースを有効に活用する為、

造作の家具をちょこちょこと入れています。

但し、これを家具屋さんに発注してしまうと非常にコストが上がってしまうので、

出来る限りシンプルな機構を大工さんに作ってもらい、

扉を建具やさんに制作してもらうというかたちをとりました。

勿論、予算的にゆとりがあれば、

家具屋さんに発注して全て制作してもらうことで、

それに見合った素晴らしいものもできます。

こだわりどころをどこにもっていくか・・・によって、発注の仕方も変わってきます。

全体的なバランスが崩れないように。

例えばどこか一部だけがすごくゴージャスで、

他の一部がものすごく品祖な感じになってしまったりしないように、

いろいろと予算と仕上がりのバランスを考えながら、現場に指示を出していきます。



さて、そんな造作家具の内容は、こんな感じです。



まずは、リビングのTVカウンターとベンチ。

出窓下の壁が背もたれになって、座布団が4枚程敷ける幅と奥行きがあります。

ベンチ下にはミニコンポや生活雑貨をしまえるように収納になっています。

配線も全て事前に仕込んであり、扉が付けばそれが隠れるようになっています。

TVカウンターも薄型TVが置けて、

下段にはDVDデッキ類が置けるようになっています。

そしてスケッチが大工さんの手にかかるとこんな風に。



ぴたりっ!と納めてくれました。



ベンチの横にはちょっとした小物がしまえる電話台も制作。



これはリビングのベンチ側から上部が使えて、

玄関扉側から下部が使えるように出来ています。



建具やさんがこれにあわせて扉を制作してくれます。


更に下足入れも大工さんの力作で。



玄関側からは下足入れですが、この背面が階段になっているので、

実は階段踊り場の手摺代わりにもなっています。



4枚の開き扉が入りますが、そのうちの1枚は鏡の扉にしてもらい、

リビング側の部屋が映り込んで部屋が広く感じられるように、

また、出かける前の身だしなみのチェックもできるようになっています。

私の身長よりは高さがあるので、かなり収納量もありますが、

天井いっぱいまでいかず、

吹抜けに置いてあるので圧迫感も感じないようになっています。






こんな風に、造作家具は上手く使えば、

一粒で二度オイシイ  空間活用が広がっていきます。

貧乏性の設計者(ワタクシ)は、

この「一粒で二度オイシイ」に頭をひねるのが、

結構楽しかったりします。



さて、少し仕上の様子も見えてきました。

今回、リビングダイニングは床暖房対応のフローリングを使用しています。

幅広の材で、色は少し赤みがかった色。

カリンまでは濃くないですが、やわらかい赤系の板を使います。

そして壁は珪藻土。

色は黄色に近いクリーム色で、少し横引きのテクスチャーを出しています。



実は、この珪藻土の壁は当初外壁廻りのみとして、

部屋内の壁はペンキ塗り風のクロスの予定でした。

ところが、お施主さんのお父さんが仕上りをとても気に入ってくださって、

是非とも1階のお部屋全部を珪藻土にしたいとご連絡がありました。

全面がこの色だとちょっとどぎつくなってしまうのではないかと思いましたが、

私も今日現場に行って確認してみたところ、

とてもやわらかくてほっとするような仕上がりだったので、急遽変更に。

自分の好きな素材を使っていたのですが、

実物をお客様に気に入っていただけたのは、本当に嬉しいことでした。



2階は既にクロスを貼りおわっていたのでそのままで。



これも色は白っぽいですが、少し珪藻土風に見えるクロスなので、

落ち着いた感じに仕上ってきました。



ペンキ屋さんも入って、家具や建具枠に色が入りつつあります。

これはフローリングの色にあわせて少し赤みがかった木目の色を出しています。

赤と黄色系というと、かなりどぎつい印象になりそうですが、

彩度はそんなに高くないのと、自然素材を使用しているので、

そういったテクスチャーの柔らかさによって、全体的に色の強さを緩和しています。

甘くラブリーにはならず、ポップな感じでもなく、

あたたかくて若々しい感じがするけれど、でもどこかシックで落ち着く・・・

というギリギリのラインのところに着地できるように

もって行きたいなぁ~と思っているのですが。

果たしてどうなるでしょうか。

今後の建具やさんとペンキ屋さんの仕事にかかっています。

どきどきどき。

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masu
年齢:
55
性別:
女性
誕生日:
1969/09/27
職業:
一級建築士
趣味:
しばらくおあづけ状態ですが、スケッチブック片手にふらふらする一人旅
自己紹介:
世田谷で、夫婦二人の一級建築士事務所をやっています。新築マンションからデザインリフォーム等をはじめ、様々な用途の建築物の設計に携わっています。基本呑気な夫婦で更新ペースもぬるーく、更新内容も仕事に限らずゆるーく、でもていねいに、綴っています。
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