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ノイファイミリーの日常、息子の成長など・・・
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明け方、モハメドの隣に座っていたおじさんが彼を揺り起こした。
「アズルーだよ!」
急いで荷物を担ぎ、バスを降りる。
バス乗り場からのアズルーの街の眺めはいい。
ひんやりした空気、澄んだ空。
しばらくすると、“Fez. Fez. Fez.Fez!!”と八百屋の掛け声みたいに
行く先を告げるバスのおじさんがいたので、そのバスに乗り込む。
ここからあと2時間くらいでFezの街に着く。
途中イフレンの街の中を通った。
ここは本当に本にでていた通りのヨーロッパ風の小奇麗な街だ。
モロッコは見合い写真のように実物よりかなり奇麗に移っている写真ばっかり
ガイドブックに載っている事が多いが、
ここイフレンは実物も写真通り美しい街だった。

朝9:00頃、ようやくバスはFezの長距離バスターミナルに到着した。
明るい時に見るとなんでもないバスターミナルだ。
でも行きの、夜中に見たこのバスターミナルは、
本とにトワイライトゾーンへようこそ…ってな感じでおっかなかった。
ジュラバのフードをすっぽりとかぶった男達が、ますますそれに拍車をかけていた。

カスカドホテルに行き、
モハメドがアリに連絡してくるからここで待っているようにと言って出て行った。
ホテルの狭—い事務所でミントティーをご馳走になり彼を待っていると、
1人のアラブ人が“君の部屋は何処だい?さあ、一緒に部屋へ行こう!!”
とセマってきたので、NO!!と言って逃げたした。

1人でモハメドの家に行くと、みんながキスで迎えてくれた。
ママもメリアンもファティマもサーラも、
みーんな私が帰ってきた事を喜んでくれた。
一通りの挨拶が済んで彼女達が貸してくれた部屋着に着替えると、
ファティマが自分の洗濯する姿を私に見せたい言うのでルーフに出た。
盥に水を汲み、洗濯物を入れ、洗濯板をのせたところで、
「ちょっと待って!!!」
私は頼んだ。
ずーっと後まわしにしていた自分の洗濯物… 
調度いい機会だ!! 
“Teach me!!”
そう言って、私は自分の洗濯物をとってきた。
彼女達は、それは私達がやってあげると言っていたけど…
“NO. I want to do by myself!!”
そして私は、ファティマ先生にモロッコ式洗濯方法を習う事にした。
ファティマはアラビア語以外殆ど話せないので、
こんな形で私とコミュニケーションがとれてとても嬉しそうだった。
身振り手振りと細切れのフランス語で一生懸命私に教えてくれる。
ママもメリアンも最初はびっくりしていたけど、そのうちに私の手つきを見て、
「MASUはモロッコの女性のように洗濯ができるね! とっても上手いよ!」
と誉めてくれた。

モロッコの女の子達は学校を卒業しても仕事がない。
だからだいたい家で家事手伝いをしている。
でも、日本に数多い自称家事手伝いの女の子とは大違いで、
ちゃんと掃除をしたり、こうやって洗濯したりして昼間家で過ごす。
洗濯の途中でモハメドが帰ってきた。
ファティマと一緒に洗濯している私を見て、彼はびっくりしながら笑っていた。
「もう、時間がない?」
「いいや、充分あるよ。続けていいよ」
モハメドはそう言ってから付け加えた。
「だけど君は、お腹が減っているんじゃないのかい?」

「食事の用意ができたから先に食べよう!」
モハメドがテーブルに私を案内した。
2人並んでパンとハリラを食べていると、
ママとメリアンが2人で顔を見合わせあって笑っている。
「やっぱり2人はお似合いよ!
ねえMASU モハメドと結婚してずっとここで暮らさない?」
「でも、私には日本に家族がいるし、仕事もあるし…」
ママはすかさず言った。
「だったらモハメドを日本にやっちゃえばいいワ!!」
私は笑いながら続けた。
「それに彼はサハラで、私のことなんか大—キライって言って、私のことぶったの」
それを聞いたママは「本当?!全くこの子ってば…」とゲンコツを振り回した。
「お願いだからそんな事言わないでよ。あれは冗談じゃないか!
うちの母ちゃんは強いんだから!」
ママのゲンコツから逃げ回るモハメドにそうせがまれて、
私はママに冗談ですと告げた。
どの国も、母は強し。

食事をとり終え後かたづけ。
床に散らばったパン屑を掃こうとしたら、
「それはいいよ。メリアンのホームワークだから」と言われ、再び洗濯にもどる。
家族の中で、役割分担がちゃんと決まっているんだね。
ファティマに習って色別に洗濯を続ける。
白は白、青は青、黒は黒…と他の色に染まらないように、
別々のバケツに洗い終わった物を入れ、つけ置きがすんでから、一緒に水で流す。
ジーンズはブラシで擦って汚れを落とす。
汚れやすい裾の部分やおしりの部分は入念に…
水で濯いだ後は殆ど絞らず、そのまま洗濯挟みでロープに干していく。
多分アイロンなんてないだろうから、この方が後で皺になりにくいのだろう。
考えてみれば日本だって、
ほんの何十年か前まではみんなこうやって洗濯していたんだもんね。
私のママが子供の頃の時代に、
何故かウォークマンやテレビなんかが紛れ込んでいるような、
ここではそんな不思議な生活をみんなが送っている。

途中でメリアンが自分のホームワークを終えて私達のところに来た。
モハメドのウォークマンを聴きながら、歌い、踊っている。
ファティマと一緒にベルベルダンスを踊って見せてくれて、3人で笑い転げた。
メリアンが、「マライヤキャリーは知ってる?」と聞くので、「うん」と答えると、
「私大好きなの!」とにっこりした。
2人でマライヤの曲を口ずさみながら話をした。
メリアンはスローな曲が好きらしいが、モハメドはぜんぜん違う。
彼はドンドンと太鼓をならすようなノリのいい曲が好きだ。
モハメドの身体はいつでも太鼓になる。
自分の身体をたたき、リズムをとり、そして歌う。
(正直言って歌はあんまり上手くないけど)
ジュラバを買ったお店の近くに、
タムタムという太鼓や寄木細工を売っているお店があった。
前にそこで雑談しながらモハメドと2人でドラムのセッションをした事があった。
でもタムタムはとても高価な物。
だからモハメドはもちろん、私も買う事はできなかった。
“This is my drums.” 
モハメドは自分の身体を叩きながらそう言った。
彼は、素晴らしいドラムを持っている。

メリアンが私にハリラは好きかと聞くので、大好きだと答えた。
今まで食べたモロッコ料理の中でもハリラは特に私のお気に入りだ。
あの豆の歯ざわりといい、とろりとしたこくのある味といい、
この寒い冬のモロッコで、これほど身体が温まって美味しいものはない。
いろんなスパイスが入っていて、それでもタイ料理なんかと違って辛くもなく、
とっても奥の深い味がする。
「家のママのハリラは世界一美味しいのよ!
MASUがハリラが大好きなら、シェフシャウエンから戻ったら
特製ハリラを作ってもらう様、ママに頼んであげる!!」
とメリアンが言うので、私は大喜びした。
是非とも作り方を教わって、日本でも作って食べようと思う。



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プロフィール
HN:
masu
年齢:
55
性別:
女性
誕生日:
1969/09/27
職業:
一級建築士
趣味:
しばらくおあづけ状態ですが、スケッチブック片手にふらふらする一人旅
自己紹介:
世田谷で、夫婦二人の一級建築士事務所をやっています。新築マンションからデザインリフォーム等をはじめ、様々な用途の建築物の設計に携わっています。基本呑気な夫婦で更新ペースもぬるーく、更新内容も仕事に限らずゆるーく、でもていねいに、綴っています。
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