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ノイファイミリーの日常、息子の成長など・・・
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ちょいと間が空きました。

今週は新しい仕事への挑戦をしたりして、あわあわしておりました。

この週末は、またまたオイシイ企画が公私共に盛りだくさんです。

その前に、旅日記を少し前に進めておきます。



+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + +


昨日ずっとバスの中に居たためか、かなり疲れていたらしい。
ゲホゲホと咳が止まらないので、朝食をとって、薬が飲みたいとモハメドに頼んだ。
昨日のレストランに行って、私はバターとジャムのバゲット、
モハメドはカバブとバゲットを注文した。それから、café with milk.
私はいつもコーヒーもミントティーも砂糖ぬきで飲んでいるので、
モロッコの人達は不思議がる。
こっちの人達はガラスの小さなグラスでコーヒーやミントティーを飲むが、
みーんなぶったまげる程砂糖を入れて飲んでいる。
私のコーヒーの中で蝿が溺れて飲めなくなったので、
モハメドの超甘—いカフェオレをちょっともらった。
一口飲んで、「WOW! Very sweet!!」と、
私が甘すぎるっていう顔をしたら、モハメドはゲラゲラと笑っていた。
私がこの歳でいまだに覚えている英・仏単語は非常に数少ないが、
私の表情で彼等は大体の事を察してくれる。百面相は大きな武器だ。
数少ない単語でジョークもとばし、彼等と打ち解け合い、学びあう。
時に自分の語学力の乏しさに、歯痒い思いをする事もあるが、
モハメドやアリは私よりも語学が堪能でも、
お互いに英語も仏語も母国語ではないので、かえって引込み思案になる事もなく、
結構通じ合っている。

レストランを出て、カスバの中のマーケットに入っていく。
1軒の土産物屋でミントティーをご馳走になった。
ここはモハメドの友達の家族が経営している店らしい。
ターバンを巻いた彫りの深いジュラバを着た青年が銀の盆の上で、
銀のポットでミントティーを入れる姿があまりにも絵になるので、
1枚ポーズをとってもらって写真を写した。

土産物屋を出て、いよいよマーケットの奥へと進んで行く。
埃っぽいカスバの中で、麻袋に入れられて、スパイスやナッツ、
その他古着やら何やら色んな物が売られている。
ここまで来ると、ああ ここはアフリカ大陸なんだなぁ!って気になる。

“この先にドンキーマーケットがあるんだ”とモハメドが言った。
少し行くと、ロバがたくさんはなされている。
中には愛を育んでいるロバもいて、モハメドと2人で少し顔を赤らめた。
通りがかりの子供に、写真を撮ってもらった。

また少し歩くと、オアシスの様な泥濘がある。
そこで自転車に乗っている子供にモハメドが声をかけ、
少しだけ自転車を貸してもらう。
「おいで!」と手招きされ、私がどこに乗るのか尋ねると、
“ここさ!”と自転車の前のパイプの部分を指差した。
恐々パイプの上に座り、足をあげて、泥道をサイクリング。
 “ひぇーーー!! こわい!!”
危うく泥濘に落っこちそうになり、「もういい!」と自転車を降り、
写真を撮ってもらってから子供達に自転車を返した。
3人の子供達に、モハメドが平等に1枚ずつコインを渡した。

しばらく歩くと、今度は子供達がサッカーをしていた。
モハメドが仲間に入り、チームを組んで一緒にサッカーをした。
私が写真を撮ろうとしたら、
「いいのを撮ってよ!!」
と言って張り切っていた。
でも、私の写真の腕前を、彼は知らない…
いつしか周りに子供達が集って来ていた。
さっきの自転車の男の子達もいる。
私が写真を摂る?という身振りをしたら、
「what DH?」(いくらくれるの?)
という返事が返って来た。
この土地の現実を、私は初めて知った。

サッカーを終えて、モハメドが私のところに戻って来た。
「いい写真が撮れた?」と聞くので、私はニッコリ笑ってやり過ごした。
「モハメドはサッカーが上手いの?」
「昔はね。あんな風に小さかった頃には、毎日やってたから上手かったけど、
今は全然やらないから駄目さ!」
砂漠のサッカーで砂にまみれた手と靴を洗うために、小さな川の方に歩いて行った。川といっても、ドブのようなところで、そこで女の子達が数人洗濯をしている。
1人の女の子に頼んでバケツに水を汲んでもらってモハメドが手を洗い、
水で湿らせたティッシュで靴を拭いた。

私達がマーケットの方に戻ろうとすると、子供達がぞろぞろと後をついてくる。
何かを恵んでもらえるんじゃないかと思い、お金目当てに寄ってくる。
モハメドがもうコインはないと言うと、ちりぢりに子供達はいつしか去っていった。
“これが哀しい現実さ…”
彼はそんな表情をしてみせた。

この土地で、初めて小さな子供達がお金をくれと言って寄って来たときに、
私は切なさで胸がいっぱいになっていくのを感じた。
全く不快感を覚えなかったと言っては嘘になるだろうが、そんな感情よりも、
心臓をぎゅっと締め付けられるような悲しみの方がずっと大きかった。
こんなに澄んだ、きれいな瞳をしているのに、この子達はこうして小さな子供の頃から、他人にお金をせびるという行為を当たり前のように身につけている。
それは、彼等が生きていくためにはどうしても必要な行為であり、
生まれて此の方何の苦労も知らずにのうのうと生きてきた私が、
そんな彼等のことをとやかく言えるような立場でないことは、
充分にわきまえているつもりだ。
それでも、こうしなければ生きていくことができない人々が、
この世界の中に存在しているという現実が、私にはとても悲しかった。

たまたま日本という国で生まれ育った私は、
ただ生きるためだけにお金や食べ物を手に入れるという苦労を味わうことなく、
こうやって成長してくることができた。
学校に行き、好きなものを食べ、欲しい物を買い、やりたい仕事をして、
生活を送っていた。
私にとって生きていることほど当たり前に感じられることはないかもしれない。
明日が来ることは余りにも普遍的すぎて、
そのことに対してほんの僅かでも何らかの思いを巡らすなんてことは、
正直思い付きもしなかった。
TVなどで、飢えに苦しむ子供達や、病気で死んでいく途上国の人々の数なども、
目に入り、耳に入っていたはずなのに、
それはあくまでもブラウン管の中にある架空の世界に起こった、自分とは限りなくかけ離れた世界での出来事のようにしか捉えていなかったような気がする。

でも今、私の目の前にいる子供達は、確かにこの土地で生きているのだ。
これは決して架空の世界なんかじゃない。
これが、現実なのだ。
彼等にとっては、生活することが、生きていくということなのだ。
食べることが明日につながり、
食べるために働き、お金を手に入れることが、次の1日につながる。


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年齢:
55
性別:
女性
誕生日:
1969/09/27
職業:
一級建築士
趣味:
しばらくおあづけ状態ですが、スケッチブック片手にふらふらする一人旅
自己紹介:
世田谷で、夫婦二人の一級建築士事務所をやっています。新築マンションからデザインリフォーム等をはじめ、様々な用途の建築物の設計に携わっています。基本呑気な夫婦で更新ペースもぬるーく、更新内容も仕事に限らずゆるーく、でもていねいに、綴っています。
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